傷病手当金

１．傷病手当金の支給

支給条件

以下①～④のすべてに該当した場合に支給されます。

• ①療養のために休んでいること
  療養とは、必ずしも保険診療として受ける療養だけでなく、自費で医師の診療を受けている場合や自宅などで病後の静養をしている場合も含まれます。
• ②労務不能であること
  労務不能であるかどうかは、被保険者が従事している業務の内容から判断して、その本来の業務に耐えられる状態であるかどうかで決めることになっています。
  半日だけ勤務したような日は、就労した事実があるので、労務不能とはされず、傷病手当金は支給されません。
• ③連続する3日間の待期期間が完成していること
  傷病手当金は、療養のため会社を休んだ日から連続して3日（待期期間）が経過し、4日以上休んだ場合、4日目から支給されます。
  この待期という仕組みは、ごく短期間の労務不能については、直ちに生活困窮に陥る心配があまり無いこと、仮病などによる傷病手当金請求防止のため、取り入れられています。
  待期期間には、年休や公休日を充てても構いません。
• ④給与や報酬の支払いがないこと
  傷病手当金は、病気やけがで収入が無くなったとき、その期間について生活を保障しようとするものです。従って、療養のため労務不能となった場合でも、給与が支払われるのであれば、傷病手当金は支給されません。例えば、年休の場合は、通常、傷病手当金支給日額より年休支給日額の方が高いため、傷病手当金は支給されません。但し、給与の一部が支払われ、その日額が傷病手当金の支給日額より少ないときは、差額が支給されます。
  なお、傷病手当金受給中の通勤費、休職手当等も、報酬とみなされ、差額調整の対象となります。

支給期間（令和4年1月1日改正）

同一の傷病について支給を始めた日から通算して、1年6ヶ月に達するまで支給されます。途中、出勤等により不支給の期間があれば、その日数分、支給期間が延長されます。（令和2年7月2日以降に受給を開始した場合に適用）

尚、受給を開始した日が令和2年7月1日以前の場合は法改正前のルールが適用されるため、支給期間は、同一の傷病について支給を始めた日から起算して、暦日数で1年6ヶ月を超えない期間となります。

留意事項

• ①受給開始した日が令和2年7月2日以降で、受給期間が通算して1年6ヶ月に満たない方が再度療養に至った場合は、「再発」の判断は行わず、通算1年6ヶ月に達するまで受給することができます。
• ②支給を受けた病気と関連のない病気に新たにかかった場合や、令和3年12月31日以前に受給期間満了となった傷病が、その後、「再発」（（４）「同一疾病」か「再発」かの判断基準参照）であると判断される場合は、新たに申請することが出来ます。
• ③病名が全く同一ではない場合でも、関連性があると判断される場合には、同一の傷病として扱います（例、慢性肝炎とアルコール性肝障害など）。

支給額

労務不能1日につき、標準報酬日額（支給開始日の属する月以前、直近の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1）の3分の2相当額（端数があるとき1円未満は四捨五入）が支給されます。

オリンパスグループの月給者の賃金規程は大別して下記①②のケースがあります。

• ① 1ヶ月全休した場合であっても最低限の基本給は支給されるケース（次頁の表①）
• ② 1ヶ月全休した場合に基本給が一切支払われないケース（次頁の表②）
  この場合、欠勤減額の扱いとしては日給者と同様であるため、日給者（次頁の表③）と同じ方法で傷病手当金の計算をします。
• ※対象者の計算方法を判断するために賃金規程を確認しています。改定があった場合は、最新版の提出をお願いします。

傷病手当金の計算方法

具体例

●月全休の場合（欠勤日数30日の場合）

●10日間欠勤の場合（月曜日～翌週水曜日の8日勤務の場合）

「同一疾病」か「再発」かの判断基準

既に傷病手当金を受給したことがある傷病でも、以前の傷病が一度「治癒」し、その後、その傷病が「再発」であると判断される場合は、新たに傷病手当金が支給されます。

「再発」と認められるためには、病気やケガが一度「治癒」していることが必要です。この場合の「治癒」は、必ずしも医学的な判断のみによらず、社会通念上、治癒したものと認められればよいこととされており、例えば、自覚的・他覚的症状がなく、相当期間就業した後、同一疾病で療養した場合は、別個の病気・ケガとみなし、逆に、他覚的に異常が認められる等、社会通念上、治癒したものと認められない場合には、例え、療養が断続的で、医師が別々の病名を付した場合であっても、同一疾病に該当するものとしています。

この判断は、前の病気・ケガの治療中止時の所見、その後の症状の経過、就業状況の調査を行った上で認定することとしています。

オリンパス健康保険組合における「再発」基準

上記を踏まえ、当健保では、以下①もしくは②に該当した場合に、前の傷病は一度治癒したものとし、「再発」として取り扱います。

尚、同一疾病か否かの判断に迷うケースについては、担当医師への照会等を行い、最終的には、当健保の組織的判断で方向付けを行います。

• ①その傷病による傷病手当金を受給しなくなってから１年（12ヶ月）以上、医療機関の受診がなく薬も服用していない場合
  ＜考え方＞
  1年（12ヶ月）以上、受診や薬の服用がない場合は、自覚的にも他覚的にも病変や異変がないということであり、治癒したと判断できる。
  ※受診や薬の服用の有無は、当健保で確認します。
• ②医療機関を受診し薬も服用しているが、休暇は通院のために取る程度で、通常の業務を行っており、その傷病による傷病手当金を受給しなくなってから１年半（18ヶ月）以上経過している場合
  ＜考え方＞
  医療機関の受診や薬の服用がある場合でも、社会通念上治癒したと認められれば、「再発」に該当するものとし、その社会通念上の治癒は、就業状況と再発に至る期間から判断することとする。
  ＜社会通念上の治癒＞
  　1ヶ月のうち通院等のための休みが2回程度（他の傷病（※）を含む）である期間が継続して1年6ヶ月（支給期間と同期間）以上経過している場合
• ※インフルエンザ等の別の病気であることが明らかな場合や所用等によるものであることが明確な場合は、その期間から除きますが、「体調不良」など、不明確な場合は、例え別の傷病であっても、休んだ期間に含むものとします。

手続き

留意事項

• ①被保険者記入欄
  請求は、原則、暦月ごとに分けて行ってください。（例：3/20～4/15の請求→3月分（3/20～3/31）、4月分（4/1～4/15）の2回請求）被保険者記入欄は、全項目の記入が必要ですので、健保に提出する前に記入漏れ・間違いがないか事業主側にて確認をお願いします。
• ②医師が意見を書く欄
  主治医に記入してもらってください。記入のない申請書は、受理できません。健保に提出する前に記入漏れ・間違いがないか事業主側にて確認をお願いします。
  1ヶ月に1回は受診し、請求書1枚（1ヶ月）ごとに医師に当該証明欄を記入してもらってください。尚、月の途中で医療機関が変わったときは、2枚に分けて各々の医師から証明をもらってください。
  傷病手当金の受給は業務外の疾病・負傷に限られます。「医師の意見欄」に業務上の疾病・負傷である旨の記載がある場合には、健康保険法では受理できませんので、チェックをお願いします。
• ③事業主証明欄
  事業主側で記入する欄です。記入漏れがないか確認してください。なお、「賃金支給」欄の記入漏れが散見されます。忘れずに記入してください。
  ソフトランディング実施月は、ソフトランディング手当を記入し、実施記録も提出してください。実施に際し、交通費が支給されている場合は、交通費も記入してください。
• ④対象となる負傷や疾病
  業務外の負傷や疾病が対象です。業務に起因する負傷や疾病は、労災保険の対象となります。業務上の負傷であるにもかかわらず、業務外の傷病として治療費や傷病手当金を請求する行為は、労働安全衛生法に違反します。
• ⑤退職者の請求
  退職翌月以降の分の請求書は、在職時の事業所を通さず、直接請求者から健康保険組合宛に提出していただいても結構です。

記入例（本人記入欄）

［PDFで見る］shobyo_rei_honnin.pdf

記入例「傷病手当金請求書（医師・事業主記入欄）]

［PDFで見る］shobyo_rei_jigyonushi.pdf

添付ファイル